ドクターズコラム-覺田尚人先生-|医療法人社団健和会・函館おおむら整形外科病院/北海道函館市若松町【整形外科・脊椎外科・人工関節外科・リハビリテーション科・スポーツ外来】

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ひざの痛みと治療方法 ―高位脛骨骨切り術とは―

HTO手術の相談や手術を行っている施設に「函館おおむら整形外科病院(北海道)」が掲載されました。下記のバナーよりご覧頂けます。

ひざの痛みと治療方法 ―高位脛骨骨切り術とは―

半月板損傷と変形性ひざ関節症

みなさんはスポーツによる膝のけがで、半月板損傷というものをご存知でしょうか。半月板損傷は靭帯損傷に並び頻度の高いスポーツ障害です。また、スポーツに限らず日常生活の中で起こることがあります。半月板とは膝関節の太ももの骨とスネの骨の間にあるクッションのような軟骨組織で、アルファベットのCの字型をしたものが内側と外側にそれぞれあります。弾力があって衝撃を吸収したり、掛かる体重を分散したりする大切な機能を持っています。スポーツ中の接触プレーや方向転換、膝をひねる動作、正座や深くしゃがんだ状態から立ち上がるときなどに受傷することが多く、靭帯損傷を合併することもまれではありません。また、半月板は加齢とともに変性(老化)するため、40歳以上では階段昇降などのちょっとした日常生活動作でも、バサついたり亀裂が生じたりします。

半月板が損傷すると痛みを生じることが多く、運動するときや膝の曲げ伸ばしのときに引っかかる感覚を感じたり、曲がったまま伸びなくなるロッキングという現象が起こったりします。また、症状が長く続くと膝に水がたまることもあります。さらに、膝の軟骨がすり減ってO脚やX脚に変形してしまう変形性膝関節症という病気が合併して起こることも多いのです。注射やリハビリテーションで経過をみて、痛みが改善する場合は良いのですが、全く改善しない、もしくは症状が悪化する場合には手術が必要になります。

以前の手術治療は半月板切除術が主流でしたが、最近では半月板を切除する割合が大きいと変形性膝関節症が進行することがわかっています。その予防のためには半月板を縫合する温存手術が重要であります。もし、膝に痛みを感じた場合、的確な診断が必要になるので早めに専門の医療機関を受診して、適切な治療を受けることが大切です。
【函楽 令和2年1月15日掲載】

前十字靭帯損傷について

スポーツで受傷する膝のケガで、前十字靭帯損傷という名前を耳にしたことがありますでしょうか?

膝関節は3つの骨(太ももの骨1本、すねの骨2本)で構成される関節で、4本の靱帯によって骨同士が繋がっています。骨の間にはアルファベットのCの文字の形のような半月板が内側と外側に一つずつあり、クッションの役割をしています。運動機能としては、ちょうつがいのように曲げたり伸ばしたりすることができますが、単純に一つの軸を中心に回転しているようで、実は、ねじれ動作も加わりながら複雑に動いています。膝の靭帯はその動きをコントロールしています。

膝の靭帯は内外の側副靭帯、前後の十字靭帯の4本で構成されています。前十字靭帯とは関節内の中心にあって、太ももの骨とすねの骨を繋いで膝を安定させる大切な靭帯です。すねの骨が前に出過ぎたり、内側に回ってしまったりするのを制御しています。サッカー、ラグビー、テニス、バスケットボール、バレーボール、スキー、スケートなどのスポーツで損傷することが多いです。

コンタクトスポーツにおいてタックルなどで膝をひねったり、ジャンプ系競技の着地やサッカーなどの急な方向転換で膝に過度の負担がかかったりしたとき、前十字靭帯は断裂します。スポーツだけではなく階段を踏み外したり、段差を飛び降りたりしても切れることがあります。一度切れてしまった関節内の靭帯はギプス固定などの保存療法では治りません。受傷後1ヶ月程度で痛みは落ち着いて、日常生活は問題がなくなることがほとんどですが、靭帯は損傷したままの状態です。

靭帯が切れたままの状態で生活を続けると、内側の半月板が断裂してしまい、将来は変形性関節症、いわゆるO脚の膝になってしまいます。左右のバランスが崩れて歩行が困難になることもあります。膝の内側の腱を採取して靭帯を再建する手術とリハビリテーションを行うことにより、安定したしなやかな膝を取り戻してスポーツに復帰することができ、またスポーツを行わない人でも変形性関節症への進行を予防することができます。
【青いポスト 令和1年11月29日掲載】